ヤングケアラーとは、通常は大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どものことを指します。
責任や負担の重さにより、学業や友人関係、進路選択などに影響が出てしまうこともあります。
国の調査では、小学生~大学生の17人に1人がヤングケアラーである可能性が指摘され、決して特別な存在ではありません。
しかし、ヤングケアラーの年齢が低ければ低いほど、自分の置かれている状況や担っているケアについて客観的に認識することは難しいです。
子どもから声をあげてもらうことを待つのではなく、大人の側が気づいて声をかけていくことが重要です。
子どもや若者がケアを担う背景に、様々な要因が複雑に絡み合っている場合もあります。
保護者の失業、不安定な雇用形態、長時間労働による保護者の不在
家族の病気や障害、メンタルヘルスの課題(アディクションや自殺企図など)
虐待・ネグレクト、DV、家族の服役
親との別離、家族内の偏ったパワーバランス、頼れる親族の不在
家族の問題は家族で解決するという考え方
やみくもに関与しようとすると、警戒されて支援の手をとってもらえないことも。
下記のポイントを押さえ、ヤングケアラー本人と家族の気持ちを踏まえた関わりが必要です。
これまでの福祉制度では、介護や介助などが必要な本人のみをアセスメントして支援計画を立てるケースが一般的でした。介護や介助などが必要な本人だけでなく、ケアをする家族(特に子ども・若者)の存在にも目を配り、家族の状況やニーズも踏まえたアセスメントとプランニングの実践がより一層求められています。
ヤングケアラーの親や家族が何らかの支援を積極的に受けたいと感じている場合もある一方、専門職から見て支援が必要と判断される状況下であっても支援を望まない場合もあります。
また、ヤングケアラーの子どもは、家族を責められるのではないかと恐れて相談をためらうことがあります。
援助者の視点で解決方法を決めつけず、彼らが望むあり方は何か、ヤングケアラーとその家族の声に耳を傾ける必要があります。そのうえで、子どもの成長発達を支えるための情報提供をすることが重要です。
ケアには終わりがないことがほとんどです。
家庭に福祉や支援が入って落ち着いたように見えても、時を経て状況が変化したり、ヤングケアラーの進学・就職・結婚をきっかけに、問題が再び顕在化したりすることもあります。
また、施設入所や死別、離家などで長期間担ってきたケアが終わったからといって全ての負担から解放されるとも限らず、その後の生きづらさを感じる子ども・若者はとても多いです。
ヤングケアラーの置かれた状況の多様さを理解し、ライフステージの変化に気づけるよう継続的な接点を持つことが重要です。
ヤングケアラーコーディネーターとは、ヤングケアラーとその家族を支援する専門職です。
主な役割は、ヤングケアラーが直面している課題を理解し、ヤングケアラーとそのご家族に対し、適切な支援をコーディネートすることです。
状況を把握した上で「もしかしたらヤングケアラーかも?」と感じる子ども・若者を見つけたら
地域のヤングケアラーコーディネーターへご相談ください。